| 「人類の歴史は生と死の歴史」でもあります。「命ある」ものには必ず「死」が訪れます。また、多くの場合には自己の死を迎える前に、家族を看取るでしょう。その愛する家族や親しい人を喪失した後、体験する複雑な情緒的状態を「グリーフ(悲嘆)」と呼んでいますが、いずれ多くの人々は悲嘆者となるでしょう。
愛する人を亡くしグリーフに陥ることは正常な反応です。しかし、世界的にも、また日本社会の現状を見ても、人命に関する様々な出来事、特に戦争、民族間の争い、災害、事故、事件、自殺などで、無念な最後をとげる人々が多い現状の中で、このような最後をとげられた遺族のグリーフは深刻な状況となる可能性があります。どのような死別形態であっても、遺族にとっては辛く複雑なグリーフ状態となることには変わりありませんが、今、特に「グリーフ」について人々の関心が高くなっています。
かつて、日本社会は大家族で生活が営まれ、地域社会でも濃厚な人間関係がありました。その中で、グリーフは癒されていました。しかし、現代日本の社会は核家族となり、また地域社会の人間関係も希薄なものとなりました。そのような状況から「悲嘆者」はよりいっそう孤独となり、意識的に第三者からのケアを受ける必要が生じるようになりました。近年特に、「意識的にグリーフケアを受けたい」と望む人々を受け入れるシステムの必要が出てきていることに鑑み、「グリーフケアを専門的に研究」し、また「グリーフケアの実践を遂行(グリーフケア・ワーカー)」できる専門職を養成することを目的として本研究所を設立します。この設立により、日本社会でも「グリーフ」についての理解が深まり、その啓発となり、また直接的なグリーフケアを実践することにより、人々の心身の生活がより健康的になり、健全な社会を構築することに貢献できると考えています。
本研究所は日本初の「グリーフケア研究所」として、2009年4月、JR西日本あんしん社会財団の寄付協力を得て設立されました。 |